国際シンポジウム 「Creative Neighborhoods 3 」開催
2016.03.31
20世紀の社会は経済的な合理性や効率性を重視した結果、現在、日本の生活環境における人と地域の関係は希薄になってきており、地域コミュニティは衰退しつつある。今、まさに私たちの都市空間は、地域コミュニティの衰退によって様々な社会リスクを抱えている。
横浜国立大学大学院Y-GSAでは、2013年度からCreative Neighborhoodsというテーマを掲げ国際シンポジウムを開催してきた。本シンポジウムでは、都市の「余白」とも呼び得るようなパブリックでもプライベートでもない中間的な領域に着目し”Spaces of Commoning”* を通して生まれる人・モノ・情報をつなぐネットワークがいかに都市空間や地域社会を再生していくのかについて、国内外の先端的な試みを実践する建築家と議論し、生活を中心とする都市空間と社会の新たなあり方を模索する。
*”Spaces of Commoning (SoC)”とは、2015年度からスイス連邦工科大学と進めてきた共同研究のテーマで、住み手や使い手の自発的な行為によって創造される共有空間のことを指す。
日時:2016年3月26日(土) 14時〜19時
会場:YCC ヨコハマ創造都市センター3階
〒231-8315 横浜市中区本町6-50-1
※下記昨年と同じです。
参加費無料
同時通訳あり
主催:横浜国立大学先端科学高等研究院、横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院
会場:YCC ヨコハマ創造都市センター3階 〒230-8315 横浜市中区本町6-50-1
事前申し込みなし
お問い合わせ:ygsa
あいさつ:「都市の居住環境と脆弱性」
佐土原聡(横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院長)
1:次世代居住都市」研究の目指すこと
1-1「次世代居住都市」研究とCreative Neighborhoods
寺田真理子(横浜国立大学院IAS准教授)
1-2:Spaces of Commoning(SoCについて、東京とリオ・デ・ジャネイロから)
連勇太朗(横浜国立大学院IAS客員助教)
2:基調講演1
テーマ:コモンズの歴史的存在と現代における意味
講師:北山恒
3:基調講演2
テーマ:Performative Neighborhoods- Reassembling Collectives Through Building Practice
講師:Rainer Hehl
休憩
[PART2: Spaces of Commoningと地域を再生する新しい実践]
都市の「余白」とも呼び得るようなパブリックでもプライベートでもない中間的な領域に着目しSpaces of Commoningという視点を通して社会リスクをいかに乗り越え、豊かな住環境をつくり得るのかを議論する。と同時に、国内外の若い建築家による社会リスクに真摯に向き合い、時に住民と協同しながら新しいアプローチで人とモノ、社会を繋いで地域を再生するプロジェクトを通じて、住民による自発的な地域マネージメントや居住環境のネットワークのあり方について、その課題と可能性を議論する
4:Case Study1(特別講演)
テーマ:Building Together!
講師:Amica Dall/ ASSEMBLE
5:Case Study2
地域社会圏低層高密度タイプ、食堂付きアパート、小さな経済の住宅群
仲俊治(建築家、仲建築設計スタジオ)
6:Case Study3
地域をネットワーク化するプロジェクト群
辻琢磨(建築家、403 architecture[dajiba])
6:ディスカッション
人と社会の関係性と地域の自発性を生むコモンズとネットワーク
[パネリスト]
Amica Dall + 仲俊治 + 辻琢磨 + Rainer Hehl
司会:野原卓
コメンテーター:小嶋一浩
◎ 略歴
寺田真理子 Mariko TERADA
キュレータ。1990年 日本女子大学家政学部住居学科卒業。1990-99年 鹿島出版会SD編集部。1999-2000年 オランダ建築博物館にてアシスタント・キュレータ。2001-02年 (株)インターオフィスにてキュレータ。その後、インディペンデントの・キュレータとして、書籍やカタログの編集、展覧会やワークショップの企画・運営に携わる。 2007年より横浜国立大学大学院/建築都市スクールY-GSAスタジオ・マネージャー。2014年より横浜国立大学先端科学高等研究院准教授。
連 勇太朗 Yutaro MURAJI
建築家、モクチン企画共同主宰。1987年生まれ。2012年、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了、2015年同大学大学院後期博士課程単位取得退学。2012年にNPO法人モクチン企画を設立、代表理事に就任。2015年より横浜国立大学大学院先端科学高等研究院客員助教(「次世代居住都市」研究ユニットに所属)、慶應義塾大学大学院特任助教。
北山恒/Koh KITAYAMA
建築家、architecture WORKSHOP主宰。横浜国立大学大学院/建築都市スクールY-GSA校長。1950年香川県生まれ。横浜国立大学大学院修士課程修了。1978年ワークショップ共同で設立。1995年横浜国立大学助教授、同年 architecture WORKSHOP設立。2001年横浜国立大学教授、2007年より同大学院Y-GSA教授。現在、横浜市都心臨海部・インナーハーバー整備構想や、横浜駅周辺地区大改造計画に参画。2010年第12回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展コミッショナー。主な作品:「公立刈田綜合病院」(2002年、共同設計、日本建築 学会作品選奨・日本建築家協会賞)、「洗足の連結住棟」(2006年、日本建築家協会賞・日本建築学会賞)、「祐天寺の連結住棟」(2010年、日本建築学会 作品選奨)ほか。
ライナー・ヘール Rainer HEHL
建築家、アーバンプランナー。ETH ZurichでPhD取得。建築・都市計画事務所“BAÚ”主宰。1973年生まれ。ETH ZürichのMAS Urban Designのシニア・リサーチャー。2010年〜13年まで、MAS Urban Designにおいてブラジルの都市開発に関するデザイン・プロジェクトやリサーチのディレクター。2013年からベルリン工科大学客員教授。Diller, Scofidio + Renfro’s studio (2003-05年)、OMA(ニューヨーク事務所、2005-06年)勤務。2009年の第四回ロッテルダム・国際建築ビエンナーレで”SQUAT”展、2011年にMoMAで開催された”Small Scale––Big Change, The Architecture of Social Engagement“展に参加。主な著書:Building Brazil! (Ruby Press, 2011)、the urban theory publications Informalize! and Collectivize! On the Political Economy of Urban Form (Ruby Press, 2012/2013)。
アミカ・ドール Amica DALL
デザイナー。ケンブリッジ大学で文学を学び、その後、ロンドン大学で人工環境人類学を学び修了。2010年に活動を開始したASSEMBLEの創設者の一人。ASSEMBLEは、18人の建築家、デザイナー、アーティスト、家具職人などから構成される集団で、建築、都市デザイン、パブリック・アート、リサーチ、コミュニティの再構築などに取り組む。Assembleにはボスは存在せず、メンバー全員がディレクターという立場でプロジェクトに関わる。Assembleの仕事の進め方における重点は、都市・空間がつくられるプロセスにおいて市民が共犯者、あるいは仲介者(エージェント)となって関われるように、市民と互いに助け合いながら、協同する方法を模索する。ASSEMBLEは、地域住民と協同しイギリス・リバプールの廃屋化した住宅群を再生するプロジェクト”Granby Four Streets”やグラスゴーの子供の遊び場プロジェクト“Baltic Street Adventure Playground”などが高く評価され、2015年のターナー賞が授与された。
仲俊治 Toshiharu NAKA
建築家。仲建築設計スタジオ主宰。1976年京都府生まれ。1999年東京大学工学部建築学科卒業、2001年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。2001-08年山本理顕設計工場。2009年仲建築設計スタジオ設立。2009-2011年横浜国立大学大学院Y-GSA設計助手。主な受賞に、第31回吉岡賞、グッドデザイン2014金賞、第16回JIA環境建築賞優秀賞、第11回長野県建築文化賞優秀賞、第44回中部建築賞金賞等。著書に『地域社会圏主義』(共著)。
辻 琢磨 Takuma TSUJI
建築家、403architecture [dajiba]共同主宰。1986年静岡県生まれ。横浜国立大学大学院/建築都市スクールY-GSA 修了後、Urban Nouveau*勤務を経て、現在は浜松市を拠点に403architecture [dajiba]を共同主宰する傍ら、実践的な教育を提案するメディアプロジェクト・アンテナの企画運営にも携わる。2013年横浜国立大学非常勤教員、
2014年名城大学非常勤講師
、2015年大阪市立大学非常勤講師および滋賀県立大学非常勤講師
主な作品:「渥美の床」「海老塚の段差」など。2014年「富塚の天井」で第30回吉岡賞受賞。
野原卓 Taku NOHARA
都市デザイナー、横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授。2000年東京大学大学院(都市工学専攻)修了、設計事務所勤務の後、2003年東京
大学助手(助教)等を経て2010年より現職。2015年より横浜国立大学先端科学高等研究院准教授兼任。都市デザインマネジメント(横浜市・大田区ほか)から地域資源を生かしたまちづくり(喜多方市ほか)、中山間地域の集落再生(高山市、洋野町ほか)まで、幅広い対象をフィールドとして、都市・地域空間の将来像についての研究・実践を展開している。
小嶋一浩 Kazuhiro KOJIMA
建築家、横浜国立大学大学院/建築都市スクールY-GSA教授。Catパートナー。1958年大阪府生まれ。1984年東京大学大学院修士課程修了。同大学院博士課程在学中の1986年にシーラカンス(のちC+A、2005年よりCAt)を共同設立。1994年東京理科大学助教授、2005〜11年3月同大学教授。2011年横浜国立大学大学院Y-GSA教授。主な作品:「千葉市立打瀬小学校」(1995年、日本建築学会賞)、「ホーチミンシティ建築大学」(2006年、Global Holcim Awards Silver 2009)、「柿畑のサンクンハウス」(2010年、2014年日本建築学会作品選奨)、「宇土市立宇土小学校」(2011年、第26回村野藤吾賞、日本建築家協会賞ほか)、「流山市立おおたかの森小・中学校 おおたかの森センター こども図書館」(2015年)、ほか作品多数。